うつくしいヴィオレッタ
きみの細い首
指先には甘い絶望。いつだって夢をみることができないでいた。
彼女の澄んだ菫色の声は遠くから旋律となって響き、僕の体の中の水を揺らす。
まぶしい光の夏の庭。
けだるい午后。
きみの声が遠くから流れ着く。
なんという拷問。
耳朶の奥に棲む巻貝が永遠に記憶して同じ歌ばかりを嘆く。
もうすぐ彼女の翻るスカートと淡い色の髪ばかり映すようになるだろう。
五感を徐々に奪われて僕はいなくなる。
夢をみることができなかった僕は夢に喰われる。
残るのは絶望の残骸。
そして彼女。
ああ、愛らしいヴィオレッタ
その華奢な首
その美しい歌声をかき鳴らす楽器に
どうかこのピアノ線をかけておくれ